USB-SCSI 変換ケーブル LUB-SC を使ってみる

HARDWARE REPORT

USB ポートに SCSI 機器をつなげられる変換ケーブルを試してみました。

SCSI 機器をどれくらい使いまわせるかが気になるところです。


LUB-SC

Logitec 社の LUB-SC は、USB ポートに SCSI 機器を接続することのできる製品です。Windows と Macintosh の両方に対応したドライバが付属しているのが魅力的です。

USB の特徴である、ホットプラグ。コンピュータの起動中にデバイスの取り付け/取り外しができるというシステムですが、そのあたりがどの程度まで可能かに期待がかかります。使用頻度の低い記憶装置は取り外しておきたいですからね。

 

付属しているドライバは、”USB ネイティブモード” と ”SCSI エミュレーションモード” の2通りがあるようです。

このうち、USB ネイティブモードは、USB らしく記憶装置を使用できるようにするもので、通常の SCSI 機器のように数珠繋ぎにできないかわりに、USB の特徴であるホットプラグが有効になるそうです。ただし、ハードディスクと MO に限られる、とマニュアルには書いてあります。

SCSI エミュレーションモードというのは、従来の SCSI インターフェイスのように見立てるモードのことで、USB の特徴であるホットプラグが利用できない代わりに、従来の SCSI どおり、数珠繋ぎにデバイスを接続することができます。

 

今回は、ホットプラグに期待しているので、USB ネイティブモードを実験してみることにします。

 

PowerMac G4 で実験

まずは PowerMac G4 で実験してみることにします。OS は MacOS 9 です。

まずはデバイスドライバのインストールをおこないます。USB 変換ケーブルを取り付ける前にドライバをインストールしておく必要があるということです。

 

Logitec Ware for USB と書かれた CD-ROM の USB-SCSI フォルダ内から USB ディスクドライバをインストールします。インストールを完了して再起動をおこなったら、いよいよ SCSI デバイスの接続です。

 

では MO を接続してみます。

接続に使用するのは、TEAC 社 の MX-230 という MO ドライブを使用します。このドライブ、MO のさきがけのころだけあって、けっこうな曲者でした。

MSX 時代の 似非職人工房 が製作した MEGA-SCSI とでは何の問題もなく動いていたのですが、Windows 95 OSR2 のころに IO-DATA 社 の SCU-PCI とでは、起動するまでに 5 分以上かかってしまう状態でした。それが、Windows NT 4.0 にしたころからまったく使用できなくなってしまっていたのです。

幸い、Adaptec 社 の AHA-2920C という SCSI インターフェイスに変更してからは、なんの問題もなく正常に動いていたのですけどね。問題は、今回の LUB-SC で動くかというところです。

 

MX-230 は、いわゆる ”ハーフピッチ 50pin ( アンフェノールハーフピッチ 50 ピン/ハーフピッチ )” なので、LUB-SC の ”ピンハーフピッチ 50pin ( D-SUB ハーフピッチ 50 ピン/ハイピッチ )” を変換するために、ELECOM の AD-PFHM を使用しました。

MX-230 ( MO ) -> AD-PFHM ( ELECOM ) -> LUB-SC ( Logitec )

という感じでコネクタをとりつけて、MO の電源をいれて、いよいよ USB ポートへ LUB-SC を接続してみます。

・・・、なんにもおきません。

 

MO ドライブの MODE SWITCH が DOS/V 用に設定されているのがいけないのでしょうか。それとも SCSI-ID が 4 番なのがいけないのでしょうか。

とりあえず Logitec USB Disk Formatter を起動してみることにしました。

すると、あらわれたダイアログの中には

ディスク: DELTIS MO320

という記述がありました。どうやらドライブは正常に認識されているようです。

「ドライブにディスクを挿入すると、上記の情報が更新されます。」 という記述がありましたので、とりあえず、MO メディアを挿入してみることにしました。

・・・、なんにもおきません。

説明書を読んでみると、SCSI-ID は 1 から 6 の範囲で自由に付けていいそうです。とすると、MX-230 の MODE SWITCH の兼ね合いでしょうか・・・。

1 の NEC、2 の MAC も試してみましたが、やはりうんともすんとも言わず。SCSI-ID を 1 に変えてみたりしましたがだめでした。

 

・・・、いろいろと試しているときにうっかりと、MO の電源をいれないまま USB ケーブルをさして、そして MO の電源を入れてしまいました。

すると、メディアが読み込まれる音がしました。その後 Logitec USB Disk Formatter は停止してしまいましたが、MO の電源を切ってみると、ディスクを読み取ることができないというエラーメッセージが表示されました。

その後、いくつかのパターンを試した結果、MX-230 の MODE SWITCH は DOS/V 用で、SCSI-ID は 4 番で大丈夫でした。

コツとしては、説明書とは違い、USB のコネクタをつけてから MO 本体の電源をいれること、さらに MO メディアのライトプロテクトを OFF にすることが必要のようです。

そのあたりを注意して、まず先に USB コネクタを差し込んでから、MO のドライブの電源をいれます。その後、ちょっと落ち着くのを待ってから MO メディアを挿入するのがいいようです。

 

順番を間違えると、Finder がハングアップしてしまったりするので気は抜けませんが、とりあえず MO が動いてほっとしました。

 

EZ Drive を試してみる

あんなに難しくなってしまうのはおそらく、上記の MX-230 だけでしょう。ということで、こんどは SyQuest の EZ Drive 135MB を試してみることにします。

これもまた、”アンフェノール 50 ピン/フルピッチ” という、ハイピッチタイプのものとは異なるので、ELECOM の AD-PFAM という変換コネクタをはさんで接続することにします。

 

普通に EZ Drive の電源をいれてから、USB ポートへ接続します。Logitec USB Disk Formatter をみると、

ディスク: Unknown Device

と認識されています。さて、メディアを挿入してみます。

 

・・・、変化なし。もう一度、EZ Drive の取り付けからやり直してみましたが効果なしです。

ところが別のメディアを挿入してみると、ディスクが初期化されていないというメッセージが表示されました。そこで初期化をしてもらうことにしました。

DOS のファイルシステムで初期化しています。すこし時間がかかりすぎのようにも思えますが、いちおう進んではいるようです。初期化が終わると、めでたくマウントすることができました。

 

そして、ふたたびメディアを挿入しなおしてから、Logitec USB Disk Formatter を起動してみると、なんと

ディスク: SyQuest EZ135S

と認識されているではありませんか。

その後いろいろとやってみたところ、やはり EZ Drive も先に USB ケーブルを接続してから、本体の電源を入れたほうがいいようです。

認識時において多少の不安定さは感じるものの、さきほどの MX-230 とくらべると、それ以降の安定度はいい感じです。安心してメディアが交換できます。

やはり、MX-230 が不安定なのでしょうね・・・。

 

Windows 2000 で試してみる

Windows 2000 の場合は、まず LUB-SC を USB ポートへ接続するようです。インストールをするには、デバイスドライバをインストールできる権限が必要です。

説明書どおりに、「場所を指定」 でデバイスドライバをインストールします。2回ほどインストールウィザードを操作すれば完了のようです。

 

では、MX-230 ( MO ) を取り付けてみましょう。

やはり、USB ケーブルをさしてから MO の電源を入れなければうまくいきませんが、Macintosh よりも安定度が高そうです。エラーでハングアップということはなさそうです。

USB を装着した時点で、1つの記憶装置として取り扱われるからでしょうか・・・。

 

さて、つづいて EZ Drive も試してみようと思います。

まず EZ Drive の電源を入れて、USB ポートへ差し込みます。すると、今回の実験では初の、正常動作です。しっかりと認識され、そのままメディアを挿入しても、どうどうと動作しています。

きっと、いまどきの MO を使えば、こんな感じにすんなりいくのでしょうね。

 

デイジーチェーン

さて、説明書には ”複数の SCSI 機器を接続することはできません” と書いてあります。

では、実際に USB ネイティブモードで、複数の機器をデイジーチェーンでつなぐとどうなるのでしょう・・・。

 

Macintosh で実験です。

LUB-SC -> MX-230 -> EZ135 の順番でデイジーチェーンします。先ほどの教訓から、まずは USB コネクタへつないでから、両ドライブの電源を ON にします。

Logitec USB Disk Formatter は、Unknown Device を認識しました。つまり EZ Drive の方でしょう。念のため、もういちどドライブの電源を入れなおしてみると、今度は MO の方が認識されました。

MO が認識されている状態で、EZ Drive にメディアを挿入してみます。するとなにも起こりませんでした。逆に MO にメディアをいれると、正常にマウントされました。

 

では、こんどは片方にだけ電源を入れてみることにします。

USB ポートへ改めて接続しなおしてから、まずは MO の方だけ電源をいれてみます。

すると、Unknown Device を認識しました。念のため、いちど MO の電源を入れなおしてみます。すると今度は DELTIS MOS320 を認識しました。

この状態でメディアを MO に挿入してみると、正常にマウントすることができました。

 

つづいて、USB を改めてさしなおした後で、今度は EZ Drive に電源を入れてみることにします。

すると、Unknown Device として認識されました。今度はもういちど電源を入れなおしてみても Unknown Device のままでした。

この状態でメディアを EZ Drive へ挿入してみると、正常にマウントすることができました。

 

同時には使用することはできないようですが、わざわざそのたびに SCSI ケーブルを差し替えずにすむので、これはなかなかいいかもしれません。