手のひらサイズのコンパクトサーバ OpenBlockS266 を使ってみる

HARDWARE REPORT


OpenBlockS266

市販のブロードバンドルータは、どうもパケットフィルタ周りの設定が思い通りに出来なかったり設定が面倒だったりだったので、しばらくのうちは Linux を一台起動して、IP マスカレードおよびパケットフィルタ等のサーバとして稼動していました。

けれどそのためだけに大きなサーバを用意するのも何かもったいない感じがしましたので、さらには Networld 社が販売している VMware Workstation という仮想 PC ソフトウェアを用いて Linux を起動する形に変えたのですけど、VMware を起動している PC への負荷の影響か、特に夏場になると PC の不調が見られ、その度に Linux が落ちてネットワークの利用が出来なくなったりしていたのでした。

また、ホスト PC のメモリ使用量がぎりぎりだったりすると、仮想 PC が一時停止するのかどうなのか、一時的に通信が途絶えてしまうことが頻繁にみられたりしました。これについてはメモリを増設したり、同時に動作させていた仮想 PC を停止するなどの処置を行って改善したような感じですけど。

 

こんな感じのことが事の発端となって、それなら出来るだけ小型のサーバはないものかと調べてみたところ、Plat'Home 社の OpenBlockS というものを見つけました。

そして購入して差し替えようと思ったのですけど…、その間にいろいろありまして、2004/03/13 に OpenBlockS266 を購入してから、今になってようやく設定してみる運びとなったので、今回はそれについて触れてみようと思います。

 

OpenBlockS266 を購入する

購入したものは、キャンペーン中だったため CF メモリーカード (128MB) が付属された OpenBlockS266 です。

CPU は PowerPC 405GPr ( 266MHz ) で、搭載メモリは 2005/08/29 現在に販売されているものは 128MB みたいですけど、今回のは古いものなので 64MB の SDRAM となっています。LAN アダプタは 100M のものが 2 基搭載されています。

ディスプレイは接続することは出来ませんが、シリアルケーブル (モデムを繋ぐストレートではなく、PC 同士を繋ぐためのクロスケーブル) を用いることによってコンソールを操作することが出来るそうです。また、説明書に初期設定時の IP アドレス等も載っていて、その情報を元にブラウザを用いて設定を行うことも出来るとのことでした。

OS には Plat'Home 社独自のディストリビューション "SSD/Linux" を採用しているそうです。2004/03/13 に購入した OpenBlockS266 の CD-ROM (Ver.2.01) に付属していた説明書を見る限りでは、カーネルとして 2.4.20 が、glibc には 2.3.1 が採用されているとのことです。

 

OpenBlockS266 はそれだけでも DNS や DHCP や、パケットフィルタや NAT など、一般的なブロードバンドルータが行える機能を備えているそうなのですけど、内部に CF メモリーカードやハードディスクを内蔵することで、Web サーバなどさまざまな用途に利用することが出来るとのことでした。増設ハードディスクを起動ディスクとすることも出来るそうです。ただし CF メモリカードとハードディスクとは併用することは出来ないので注意が必要です。

ともあれ今回は、もしかしたら Web サーバなどをこれに全て任せられるかもと思って、ハードディスクも合わせて購入しました。

 

購入したハードディスクは、Plat'Home 社が正式に動作保証している OpenBlockS266 用のハードディスクです。逆に、付属している文書を見ると、OpenBlockS266 以外での動作は保証しないとも書いてありますけど。

Plat'Home 社が示す型番は "OBS266HD/40GB" というものでしたけど、同梱されていたハードディスクは HITACHI 社の Travelstar IC25N040ATMR04-0 という製品でした。おそらくその時々によってメーカーや型番が異なるのでしょうけど、とりあえず今回のはそれで、4200RPM の 2.5 インチ UltraATA/100 ハードディスクです。

 

そんなこんなで 40GB ほどのハードディスクを増設すれば、いろいろなことが出来るだろうなと思ったのですけど…、付属していた文書をみると、使用時間に関する注意事項として、なにやら気になることが書かれていました。

OpenBlockS266 に 2.5 インチハードディスクを装着した場合、10 日に一回は電源を切ってください。1 日(24 時間)の内、アクセス時間を 5 時間程度としてください。(24 時間 365 日稼動はしないでください。)

今はどうなのか判りませんけど、とりあえず 2004/03/13 に購入したハードディスクにはそのような文書が添付されています。

10 日に一度は電源を切ってくれと言う部分に関しては、それが熱の問題なのかまた別の問題なのかは判らないので、数秒止めれば良いのかもっと長い方が良いのかどうかは判りませんけど、とりあえずはまあ、何とかならないことはないでしょう。

けれど一日のアクセス時間を 5 時間程度というのは、Web サーバとするにもそうですけど、ただルータとして使用するだけでも、特に起動ディスクなどにしてしまったら、現実的に使えないような気がするのですけど、どうなのでしょう。

 

そのような感じなので、せっかく購入はしましたけど、今回はハードディスクの使用は見送ろうかと思います。とりあえずは OpenBlockS266 だけでどこまで出来るかを調べてから、必要とあれば付属していた CF メモリカードを取り付ける感じで行ってみるつもりです。

 

OpenBlockS266 の機能

ユーザーインターフェイス

OpenBlockS266 には、キーボードやマウス、ディスプレイなどを接続するための差込口はありません。

操作を行うためには他の PC を利用して、LAN 経由で OpenBlockS266 に搭載されている管理サイトへアクセスしたり、TELNET を用いてログインしたり、または RS-232C (COM) 経由でターミナル接続したりして操作します。

 

記憶装置の仕組み

OpenBlockS266 は、標準ではハードディスク等の外部記憶装置は搭載されていません。

ならばどのようにシステムの稼動を行っているかというと、調べてみるとどうやら RAM ディスクを用いているようです。ROM から起動した場合はルートファイルシステムが RAM ディスク上に生成されて、そこでさまざまなファイル読み書きが行われるようです。

RAM ディスクなので、そのままだと再起動と共に初期状態にリセットされます。

 

そこで OpenBlockS266 では RAM ディスクに保存されているファイルを、次のコマンドを用いてフラッシュ ROM へ保存して、次回起動時にも反映することが出来るそうです。

/usr/sbin/flashcfg -s /etc/flashcfg

-s オプションに続けられた /etc/flashcfg が、フラッシュ ROM へ保存したいファイルのリストだそうで、この中に含まれるファイルを最大で 64kB まで保存することが出来るそうです。 リストの中はファイル単体だけではなくて、ディレクトリ名を指定すればその中に保存されているファイルも保存対象となるようです。

なお、これは ROM による起動を行っているときだけで、ハードディスクから起動する設定にしている場合は必要ないとのことでした。

 

OpenBlockS266 には、外部記憶装置として "CF メモリカード" または "ハードディスク" のどちらかが搭載できるようになっています。

どちらか一方を OpenBlockS266 筐体内に格納することができ、それを追加のパーティションにしたり、または起動ディスクにしたりということが出来るとのことでした。ただ、ハードディスクを起動ディスクにする場合、ハードディスクの説明書を見ると、連続稼動はダメの様なことが記載されていましたので、現実的なのかどうかはわかりませんけど。

ともあれ、ハードディスクも CF メモリカードも、Linux 上では /dev/hda として認識されるとのことで、/sbin/mke2fs を用いて初期化して、マウントすることが出来るとのことです。

 

ネットワークサービス

OpenBlockS266 は、標準ではどのようなことが出来るようになっているのでしょう。

説明書で調べてみたところ、CF メモリカードやハードディスクを搭載した状態と、何も搭載しない状態とでは、使用できる機能に制限があるそうです。説明書に書かれていたものを抜粋してみると次のような感じでした。

機能 標準 記憶装置装着 ソフトウェア パス
HTTP thttpd2 /usr/contrib/sbin
DNS BIND /usr/sbin
FTP lukemftpd /usr/libexec
TELNET telnetd /usr/libexec
NTP × ntp /usr/sbin
SSH × OpenSSH /usr/bin/ssh
DHCP ISCdhcp /usr/sbin
PPP pppd /usr/sbin
PPPoE ra-pppoe /usr/sbin
Cron cron /usr/sbin
Perl × perl /usr/bin
GCC × gcc /usr/bin

この標準の機能と記憶装置装着時に使用できるようになるというところの、差というか根本的な理由と言うかは判らないのですけど、起動ディスクを補助記憶装置にした場合に展開するアーカイブのなかに SSH 等が含まれているそうですので、そういった理由もあるのではないかと思います。

 

また、各種設定を行うファイルは次のようになっているようです。

機能 関連コマンド 関連ファイル
静的ルーティング route /usr/contrib/etc/openblocks.conf
ディフォルトゲートウェイ route /usr/contrib/etc/openblocks.conf
パケットフィルタ iptables /etc/rc.iptables
IP フォワーディング iptables /etc/rc.iptables
IP マスカレード iptables /etc/rc.iptables
PPP pppd /etc/ppp/pap-secrets
/etc/ppp/chap-secrets
PPPoE pppoe /etc/ppp/pppoe.conf
DHCP サーバ dhcpd /etc/dhcpd.conf
Web サーバ thttpd /usr/contrib/etc/thttpd.conf
メールサーバ sendmail /etc/mail/sendmail.cf
DNS サーバ named /etc/named.conf
FTP サーバ ftpd /etc/ftpusers

ただし /etc/rc.iptables を利用するためには、/etc/rc.conf 内の /etc/defaults/rc.conf が読み込まれるよりも下の行へ iptables=YES という行を追加する必要があります。

 

RS232C 環境

OpenBlockS266 を操作する方法のひとつに RS-232C (COM) を用いてターミナル接続する方法があります。

この場合は Windows XP に搭載されている "ハイパーターミナル" などのターミナルソフトを用います。また、次の通信状態でターミナル接続する必要があるそうです。

データ長 8 bit
パリティ なし
ボーレート 9600 bps
ストップビット 1
フロー制御 なし

 

ただ RS-232C にて接続を行う場合、ケーブルで少し注意したいところがあります。

OpenBlockS266 は、RS-232C コネクタが LAN と同じ RJ-45 というタイプのコネクタが採用されています。PC は通常 D-Sub 9 pin (メス) というコネクタになっていますので、接続には変換アダプタを使用する必要があります。ただし、RJ-45 から RS-232C へ変換するアダプタは OpenBlockS266 を購入したときに付属してきますので、別途購入する必要はありません。

 

そして OpenBlockS266 と PC との接続方法なのですけど、OpenBlockS266 に付属していた印刷物の説明書によると、接続には シリアルケーブル (クロスケーブル) を用いて接続せよとのことだったので、普通に、LAN ケーブルのストレートタイプを用いて付属のアダプタで RJ-45 を D-Sub 9 pin に変換し、それをシリアルケーブルのクロスタイプで接続するのかと思ったのですけど…、どうやら違うようでした。

CD-ROM に付属している説明書を見ると、接続は単純に、LAN ケーブルのストレートタイプを用いて OpenBlockS266 と変換アダプタとを接続して、それを PC へ接続すれば良いようです。さらに延長したい場合には、RS-232C 延長ケーブル (D-Sub 9 pin / ストレートタイプ / オス → メス) を使用する感じになるとのこと。

 

なので RS-232C にて接続を行う場合には、全結線タイプの LAN ケーブル (ストレートタイプ) を使用する感じになります。

これは短いものが OpenBlockS266 に付属してきましたので間に合うならばそれで、長さが足りないような場合には新たに購入する感じで良いようです。シリアルケーブルって最近はまず使いませんから、それを購入する必要がないというのはありがたいですね。

 

ネットワークアダプタの初期設定

OpenBlockS266 に搭載されている Ethernet アダプタは、初期の段階では次の設定がなされているそうです。

 

LAN - 左側

IP アドレス 192.168.253.254
ネットマスク 255.255.255.0

 

LAN - 右側

IP アドレス 192.168.254.254
ネットマスク 255.255.255.0

 

初期設定の状態では http://192.168.253.254:880/setup.cgi へアクセスすることで、OpenBlockS266 の管理ページへアクセスすることが出来るそうです。その際のアカウントは、初期の段階ではアカウントもパスワードも "root" となります。

または TELNET を用いてアクセスすることも出来るそうです。その場合は、最初は "root" ではログインできないとのことですので、まずはアカウントとパスワードに "user1" を指定してログインしたあとに、su コマンドを使って root 権限にログインしなおします。

 

電源

OpenBlockS266 は AC アダプタの抜き差しで、電源の ON/OFF を行うそうです。

AC アダプタを接続すればすぐに起動手続きに入り、そしてアダプタをはずすことで電源が OFF になります。そのとき OS の終了手続きは行われませんので、正常終了させるためには、あらかじめ "shutdown -h now" などを実行して、電源を落とせる状態に持っていく必要があります。

 

公式情報

説明書以外にも、Plat'Home 社のサイトにて OpenBlockS266 に関する資料が公開されています。購入する際の参考や、運用中などにも必要になる可能性がありますので、念のためリンクを残しておくことにします。

>> ぷらっとオンライン - サポート - 技術情報 - OpenBlockS266

 

OpenBlockS266 を起動してみる

OpenBlockS 起動 + RS-232C で接続

OpenBlockS266 を起動してみます。今回は RS-232C 経由でターミナル接続を行ってみようと思います。

OpenBlockS266 の RS-232C コネクタに ストレート全結線タイプの LAN ケーブルを接続して、その先端に OpenBlockS266 に付属していた RJ-45 から RS-232C (D-sub 9 pin) へ変換するためのアダプタを接続します。そしてそれを、PC の COM ポートへ接続します。

そして OpenBlockS266 へ AC アダプタを接続して AC アダプタをコンセントへ差し込めば、OpenBlockS266 が起動します。

 

RS-232C を用いて接続した場合、このようにまず PC と OpenBlockS266 とを接続して、PC 側でターミナルソフトを立ち上げてから OpenBlockS266 を起動すると、起動直後のシステムメッセージから全てがターミナルソフトに表示されるので良い感じです。

LAN 経由の TELNET などはそのようには行きませんから、必要に応じて使い分けると良いでしょう。

 

初期稼動時の状態

まず、システムのディスク構成がどのようになっているかを確認してみました。

すると、マウントされているパーティションは "ルート ( / )" のみで、それは /dev/ram1 が割り当てられていました。読み書き可能なパーティションで、全体容量は 23,797 kB の、そのうち 63% が使用された状態でした。

また、メモリ使用容量を確認してみようと思ったのですけど、"free" コマンドが実装されていないようでしたので、それは確認できませんでした。"top" コマンドも実装されていないようです。

 

フラッシュ ROM に保存されるファイル一覧

OpenBlockS266 を ROM から起動している場合は、"/usr/sbin/flashcfg" を用いて RAM ディスクに対する変更内容をフラッシュ ROM へ書き出す必要があるのですけど、その保存対象となるファイルを調べてみました。

 

/etc/adjtime  "hwclock" コマンドが以前に実行されたときに、その時のハードウェアクロックの取り扱いが UTC だったかローカルタイムだったかを記録しているファイルだそうです。
/etc/flashcfg フラッシュ ROM へ書き出すファイル一覧を指定するときに使用するファイルです。
/etc/fstab ファイルシステムのマウント方法などが記載されたファイルです。
/etc/group Linux システムに登録されているアカウントグループが記録されたファイルです。
/etc/hosts システム固有の DNS 名前解決情報が記載されたファイルです。
/etc/hosts.allow 主にネットワークサービスを起動するための仕組みのひとつ "inetd" で起動されるサービスそれぞれの、使用許可条件を記したファイルです。
/etc/hosts.deny 主にネットワークサービスを起動するための仕組みのひとつ "inetd" で起動されるサービスそれぞれの、使用禁止条件を記したファイルです。
/etc/inetd.conf ネットワークサービスを起動するための仕組みのひとつ "inetd" の設定ファイルです。
/etc/inittab Linux システム起動時の "init" プロセスが読み込む、起動方法を記載したファイルです。
/etc/nsswitch.conf Linux システムが関連するデータベース (アカウント, ネームサービスなど) の格納方法や検索順序などが記載されたファイルです。
/etc/passwd Linux システムに登録されているアカウント情報が記録されたファイルです。
/etc/rc.conf Linux の起動スクリプトのうちの、ユーザーが追記しても良いとされるファイルです。
/etc/rc.iptables rc.conf にて iptables=YES を設定した場合に、iptables によるパケットフィルタを設定するために使用するファイルです。
/etc/resolv.conf ドメイン名の名前解決に使用する DNS サーバ情報などが記載されたファイルです。
/etc/shadow Linux システムに登録されているアカウント情報の、パスワードが暗号化されて格納されているファイルです。
/etc/syslog.conf Linux のシステムログを収集する仕組みのひとつの "syslog" に関する設定ファイルです。
/etc/dhcpd.conf 同一ネットワーク内の PC に IP アドレスの自動割り当てを行う DHCP サービスの設定ファイルです。
/etc/lkm.conf 読み込むモジュールを指定するファイルのようです。
/etc/namedb/named.conf ドメイン名を取り扱う DNS サービスのひとつ、BIND の設定ファイルです。
/etc/namedb/127 BIND の設定ファイルのうち、"127.IN-ADDR.ARPA" ドメインを管理するファイルです。"/etc/namedb/named.conf" の中で設定されています。
/etc/namedb/localhost BIND の設定ファイルのうち、"localhost" ドメインを管理するファイルです。"/etc/namedb/named.conf" の中で設定されています。
/etc/namedb/loopback.v6 BIND の設定ファイルのうち、"0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.0.ip6.int" ドメインを管理するファイルです。"/etc/namedb/named.conf" の中で設定されています。
/etc/namedb/db BIND の設定ファイルを格納するために用意してあるディレクトリのようです。この中に保存されたファイルが、フラッシュ ROM へ書き出されるようにと記載されているようです。
/etc/pcmcia PCMCIA 関連の設定ファイルを保存するディレクトリです。詳しくは判らないのですけど、PCMCIA 拡張 BOX を搭載することで PCMCIA が利用できるようになるとのことでしたので、そのためにあるのかもしれないです。
/etc/ppp PPP や PPPoE 関連の設定を保存するディレクトリです。
/etc/mail/aliases メールサーバ sendmail の設定ファイルのうちの、エイリアス設定に関するファイルのようです。
/etc/mail/local-host-names メールサーバ sendmail の設定ファイルのうち、メールサーバが受信できるドメイン名を記載したファイルだそうです。
/etc/mail/relay-domains メールサーバ sendmail の設定ファイルのうち、メールサーバが送信できるドメイン名を記載したファイルのようです。
/etc/vtund.conf 通信を仮想的にトンネリングするためのソフトウェア VTun に関する設定ファイルだそうです。
/etc/usermgmt.conf Linux の useradd コマンドを用いてアカウントを作成する場合、その初期値として採用される値が記載されたファイルだそうです。
/usr/contrib/etc/thttpd.conf Web サービスのひとつ THTTPD の設定ファイルです。
/usr/contrib/etc/openblocks.conf IP アドレスやルーティング情報など、その他、基本的なサービスの有効化など、OpenBlockS の設定が記載されたファイルです。

保存対象となるのは、-s オプションに続いて指定したファイルで、そのファイルは "/etc/flashcfg" を指定することとなるようなので、上記の表はそのファイルの内容を確認して記録してみた感じです。

なお、"/usr/contrib/etc/rc.local" はリストには含まれていないようで、このファイルの中で OpenBlockS の管理サイトなどの起動がなされるようです。管理サイトは "/usr/contrib/sbin/thttpd" を用いて 880 番ポートで起動されます。また、このスクリプトの先頭で、"/usr/contrib/etc/openblocks.conf" が読み込まれています。

 

初期稼動時のサービス

OpenBlockS266 の初期の段階では、ネットワークサービスはほとんど稼動していないようです。

目だったところといえば各種サービスを起動するための "inetd" と、他にもログ収集のための "syslogd" や、OpenBlockS266 の管理サイトを提供するための "thttpd"、命令のスケジューリングを行うための "cron" といった程度でしょうか。

そのほかにも OpenBlockS266 固有の、LED を制御する "runled" や、BOX 後ろのスイッチが押されたときにシャットダウン処理を行うための "pshd" といったものも起動されているようですけど。

 

ともあれ netstat コマンドを使用して、OpenBlockS のポーと待ちうけ状態を調べてみると、次のようになっていました。

time(37)/TCP inetd が実装している (internal 指定の) NTP サービスです。
111/TCP おそらく portmap によって待ち受けられている RPC サービスです。
880/TCP OpenBlockS266 の管理サイトが提供されている Web サービスです。
FTP(21)/TCP inetd から起動された FTP サービスです。
TELNET(23)/TCP inetd から起動された TELNET サービスです。

そのほかにも UDP にて syslogd が待ち受けているようです。

それとあまり関係ないことなのですけど、BOX の後ろのボタンを押すとシャットダウン手続きに入るのですけど、その手続きが終了した時点では LED が三つ全て同時に点滅するようでした。

 

使ってみた印象

OpenBlockS266 を実際に起動して、仕様を確認したりといろいろ調べてみた感じだと、標準で搭載されているサービスを利用する分には、ハードディスクや CF メモリカードを増設しなくても問題なく利用できそうな感じがしました。

また、その場合にハードディスク等の補助記憶装置を増設すれば、RAM ディスクと違って書き込んだ内容が即時に記録されますし、容量も RAM ディスクよりも圧倒的に多いでしょうから、何かと自由が利きそうです。

 

ただ、ソフトウェアを追加でインストールする場合には、起動ディスクそのものを RAM ディスクから補助記憶装置へ差し替える必要がありそうです。

何かを新規にインストールしても 64kB を越えない範囲ならば問題なさそうな気もするのですけど、その場合もインストールされたファイルを全て "/etc/flashcfg" 書き込まないといけないですし、インストールされたファイルを全て把握するのもなかなか大変なような気がします。

また、ディスクへ記録などを残すソフトの場合はなおさら、システムがハングアップしたような場合などにそれが消えてしまったりもするでしょうから、既存の状態へ機能を追加するような場合は、ハードディスクまたは CF メモリカードを増設して、それを起動ディスクにした方が良さそうな感じがしました。

 

ただ、ハードディスクを起動ディスクにするか、それとも CF メモリカードを起動ディスクにするか、そこは難しいところです。

ハードディスクを搭載した場合は連続稼動が推奨されてはいません。具体的には 10 日に 1 度は電源を落としてディスクの回転を止めることと、1 日あたりのアクセス時間は 5 時間程度にとどめることなどが上げられています。その理由としては、2.5 インチハードディスクがノートパソコンのように電源を切ることを想定して設計されているためだそうです。そのような状況下で故障を防止する設計になっているそうで、連続稼動をしてしまうと故障率が大きく跳ね上がってしまうとのことでした。

なので容量は圧倒的に少なくなってしまいますけど、CF メモリカードをブートディスクにしたら良さそうな感じがします。それでも RAM ディスクよりは容量が多くなると思いますし、連続稼動が出来るなら何かと都合が良さそうです。ただ、こちらも注意事項があって、CF メモリカードというものは仕様上、書き込み回数が 30 万回とされています。これでどの程度もつのかは見当が付きませんけど、起動ディスクとするにはちょっと不安が残る気がします。

公式サイトではそのような理由で CF カードをスワップ領域に使用することはお勧めできないと記載されていましたけど、それはハードディスクでも仕様的に不安なような気がします。

 

このような感じから考えて補助記憶装置を起動ディスクとする場合は…、どちらが良いのでしょうね。

今までは CF カードの方が良さそうと思っていましたけど、この感じだとなんか、ハードディスクで良いかなとも思ってしまう感じでした。個人的には家庭用ルータに使用したいなと思っていた程度なので、一週間に一度電源をちょっと落としてあげれば良さそうですし、CF メモリカードの 30 万回というのが大きな障害にならないとするならば、ハードディスクの 1 日 5 時間制限も、なんとなく平気そうな感じがするので…。

とりあえず、標準以上の機能を使いたい場合や、補助記憶装置が必要となるような場合には、何かと面倒なところは覚悟して使用した方が良さそうでした。

 

ちなみに、補助記憶装置を何も搭載しない状態で動かしてみていた感じですけど、温度はそれなりに熱くなるようです。

PC のハードディスクほどは熱くなりませんけど、でも手で触ると熱いかなと思いつつもずっと触っていられる感じ。これも漠然とした表現ですけど、ノートパソコンと同じくらいな感じでしょうか。なので、それにハードディスクを搭載するとなると、けっこう熱くなるんじゃないかなって思います。

ちなみに起動中の音は、冷却ファンが搭載されていないせいもあって、気づかないほど静かです。

 

OpenBlockS266 を出荷時の状態へ戻すには…

何かあった時の備忘録のつもりで、OpenBlockS266 を出荷状態に戻す方法も記載しておこうと思います。

戻し方は INIT ボタンを押しながら電源を起動し、インジケーターが 1 → 2 → 4 → 2 → 1 と点滅して行くまで押し続けます。そうすると、フラッシュ ROM に保存された内容を読み込まずに起動するとのことですので、完全に戻す場合はさらに次の命令を実行します。

/usr/sbin/flashcfg -s /dev/null

これによって "/usr/sbin/flashcfg -s" にて保存した内容が消去されるとのことです。