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週刊 BIG COMIC スピリッツ

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2013/02/03 Tomohiro Kumagai

□ 美味しんぼ 福島の真実編 1 を読んで

**     ここの文章は、作品そのものの紹介や感想というよりは     **

**     その作品が語りかけてきたものに関連しての     **

**     自分なりに感じたことやら意見やらを述べる感じが中心となっています。     **

 

―    大震災から半年経ちましたが、福島の現状がはっきり掴めないんです    ―

 

そんなフレーズから始まったこの物語、自分もそれと同じ印象を抱えていました。

あれは、今からおよそ 2 年前の 2011 年 3 月 11 日のこと…。

 

日本で原子力災害が発生、しかし

2011 年 3 月 11 日に東日本を大きく飲み込む震災が起こり、ほどなくして起こった東京電力福島第一原発の爆発事故。

それを機に、それまでは「五重の壁」で「外部へ漏洩することがないように厳重管理」されていたはずの放射能が大量に大気に放出されるという事態に見舞われました。

2011 年 3 月 15 日の東海第二発電所のモニタリングポスト計測値

原子力発電所が爆発したことだけでも強烈でしたが、茨城にある東海第二発電所の敷地内の放射線を計るモニタリングポストでも 15 日の午前中に計測された放射線量のグラフが大きく振り切れていたのも鮮明に記憶に焼き付きました。

福島では原発から半径 20 km が警戒区域に指定され住民がその区域からの避難を余儀なくされていることは、ニュースでも取り上げられたのでよく知られていることと思います。

 

このように、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、これまでにない危機的な状況が生まれた、はずでした。

ニュースも最初は「最後の砦は破られていない」と頑張って報道していましたが、だんだんと状況が判って五重の壁が破られていることが見えるにつれて話題は沈静化、インターネットから情報の断片をつなぎ合わせて行くことも困難でした。

 

放射性プルームと高汚染地帯(ホットスポット)

そんな中「放射性プルーム」という放射能をたくさん含んだ雲が、その 3 月 15 日と 3 月 21 日の 2 度に渡って東京で観測されたことをインターネットで知りました。

そしてそれが、千葉県の松戸や柏、長野県の軽井沢、栃木県の那須塩原、東京の葛飾や奥多摩、埼玉県の秩父、宮城県の白石などの各地にも到達し、放射能の高汚染地帯(ホットスポット)を作ったと言われています。

横浜市でも港北区大倉山で 4 万ベクレル/kg にもなる放射性セシウムが見つかったりもしているそうです。

 

放射能と、食の安全

そして、脅かされるはずだったのは、食の安全。

それでも事故当初から「食べて応援」という言葉ばかりが、ずっと世の中からは聞こえてきます。

 

事故直後はもちろん、今でもホットスポットや東日本全体で採集された作物から次々と放射能が検出されています。

放射能を取り込みやすい食品としては、キノコ、タケノコ、海藻、小魚、栗、牛乳など、放射能に汚染されやすい食品も噂され、実際にこれらから高い放射能が検出され、2012 年秋に収穫した栗も出荷停止になるなど、放射能の影響はまだ現れています。

 

そしてなにより、今もっとも気になっているのが「魚」です。

事故直後にも「魚に放射能が蓄積されるのは半年後から、そしてその影響は数年にものぼる」という噂がありましたが、実際に半年過ぎて、魚の放射能汚染の話題を耳にするようになりました。

 

東電福島原発では、事故当初から今でもずっと、大気にも、海にも、大量の放射能が流れ出している可能性があり、それがどれだけ海への汚染を広げているのか、とても気がかりでした。

 

美味しんぼ「福島の真実」編がはじまる

それから 2 年が経とうとしている 2013 年 1 月 28 日。

BIG COMIC スピリッツで、美味しんぼ「福島の真実」編が始まりました。

 

「福島は原発問題が大きすぎて」

その一言が確かに全体を上手に表しているのかもしれませんね。これほど時間が経過しても満足に情報が得られないような気がするのは、情報を掴むだけの次元に自分が追い付いていなくて、在るのにそれが見えていないだけなのかもしれません。

もしかすると、放射性物質と同じように。

 

福島県の会津地方は、福島でも放射能の影響が少なかった地域としてよく聞きますね。

美味しんぼ「福島の真実」編で紹介されている須藤さんのアイガモ栽培米、この漫画によるとつくば分析センターで厳密に検査がされていて、ヨウ素-131、セシウム-134、セシウム-137 について不検出、そのときの検出限界もそれぞれ 1.2 Bq/kg と、これらの数値に関してみれば、確かにこれなら「食べられるかな」ってやっと思えます。

 

それでもまだ、それがというか、東日本の食材が食卓を彩り、それを家族でおいしいおいしいと言って食べる、そこまで考えが上手く結び付きません。

あれだけ大きな原発事故があってそれからまだ 2 年足らず、そんな安心・安全な光景が、もうそこまで来ているのでしょうか。

少なくとも、子供がそれをおいしいおいしいと喜んで食べる、それだけで子供たちには「判る」だなんて言えないように思います。

無味無臭で目に見えない放射能、健康被害をもたらす恐れのある放射能、それを「こんなに美味しいのに」という理由で勧める空気は、原発事故以来、身近でさえよく感じてきました。

 

 

第 1 話では最後に、福島の取材はその真実を知ることに加え「お前の根を知るためのものだ」という言葉で締めくくられています。

これから始まるこの物語の中で、どういったことが語られて行くのか、どんなことが見えてくるのか楽しみです。

 

□ 美味しんぼ「福島の真実」編 #1

著者 雁屋哲
掲載紙 週刊 BIG COMIC スピリッツ

 

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